技術伝承で会社の未来を守る ― 金属美を生かし続ける企業「谷村製作所」の想いとは
株式会社谷村製作所(鉄鋼造物製作等)

株式会社谷村製作所

 

今回取材に伺ったのは東京都墨田区に本社を構える株式会社谷村製作所。1935年創業以来、86年の歴史を誇る老舗の鉄骨及び建築金物の製作会社だ。現在、従業員の大半が勤務しているのが、昭和42年に建設された船橋工場である。鉄骨製作工場の評価は、建築規模、使用する鋼材等により5つのグレードに区分されているが、同工場は信頼の証、国土交通大臣認定工場Hグレード(※)を取得している。
今回はその船橋工場にお伺いし、代表取締役社長 谷村朋昭氏、船橋工場の広瀬工場長、若手社員の代表として中村さん(入社7年目)に、会社の経営理念、事業内容や社員に期待すること等について伺った。

※国土交通省が定める認定のうち、Hグレードの認定を受けている優良な鉄骨製作工場のこと。

 

事業内容
― 86年の伝統は一人の鍛冶職人から。これからは「鉄骨」で勝負したい ―

▲終始明るい表情で取材に答える谷村社長

 

当社は、建設に関する鋼構造物(鉄骨)および金属性付属物の設計施工を一貫的に行う会社です。主に、我々のお客様は建設関係のゼネコンさんです。主な製品は、商業施設や銀行の店舗等の鉄鋼造物にはじまり、昇降階段や、コーナーガードといった製作建築金物、それからマンションや、小学校等にある螺旋階段や手摺等も得意分野ですね。駅や大学等の公共施設の鉄骨工事を請け負うこともあります。

当社は、国土交通大臣認定会社として、現状「SHMRJ」の5段階評価のうち船橋工場は「Hグレード」の位置付けとなります。祖父が創業し今年で86年になりますが、先代の時にグレードを一つ上げ、私の代でまた一つ上げることができました。
現在までは製作金物、鉄骨階段や手摺等、主に「鉄」の部分を追いかけてきましたが、今後は「本体鉄骨」と言われている、本体の「鉄骨」で勝負したいと思っています。

 

▲船橋工場の様子。資格取得者の名前が沢山並べられている:右上

 

切にしている想い
― 信頼の証。徹底した「約束納期の厳守」―

我々はモノづくりの会社として、納品の期限は必ず厳守することを徹底しています。そのためにも、発注元のゼネコンさんとも協力し合い、図面の打ち合わせや材料発注、組立の計画等を立てていきます。納期を厳守することで、お客様も喜んでいただき、結果次の仕事へとつながっていく。ここが創業86年間、当社が大切にしている思い「納期厳守」という言葉になってくるのだと思います。

こういった私たち経営陣の想いが社員全員に行きわたるよう、毎年経営計画書に記載している、会社の方針、100周年に向けた思い等、一人一人の社員に説明をする時間を設けています。自分が今手掛けている仕事は何のためにやっているのかを感じ取ってもらいたいですし、なによりも、「自らがやるんだ」という自立性の高い社員であってほしいと思います。

 

▲経営計画書には一人一人の名前が印字されたものが配布される。社長の100周年に向けた熱い思いを直接聞くことができる貴重な機会だ。

 

仕事のやりがいとは
―「自分たちが作ったモノが芸術として残る」―

一番は、「自分たちが作ったモノが「施設」や「芸術」として何十年先も残り、人や社会の役に立っていることを実感できる」ということだと思います。お客様からの依頼を受け、施工計画を立て、そこに新しいものを作るために古い物を壊し、また新しい物を作っていく。これを日々眺め、完成していく様を最も身近で感じることができること。我々が仕事を通じて感じたこのやりがいを今の若い社員たちにも実感してもらいたいですね。

 

若手の育成
―「プロの技術」と「鍛冶職人としての知・心・想の伝承」―

当社は、比較的若い20代の社員と、経験や技術を持っている60代、70代が多く、その中間の世代が少ない。そうなるとどうしても技術者に頼ってしまいがちなのですが、当社の発展、存続のためにも、若い世代の育成は、スピード感をもって対応していかなければならないと考えています。
技術を受け継ぎながら1人前になるためには、3年から5年程度かかります。粘り強く教えていくためにも、経験のあるベテラン社員と若手社員がペアとなり仕事を教えていく体制をとっています。また2019年度からは「資格取得支援」も開始しました。資格毎、難易度に応じて、合格をしたらボーナスを渡しています。「やる気があるならばどんどん挑戦してほしい」という思いです。

 

― 一人一人がレギュラー。会社を支えるのは、社員一人ひとりの力。

「得意なことを伸ばしてもらいたい」という思いから、入社後は必ず希望する職種を尋ねています。図面を書くことが好きな子もいれば、溶接をやりたい子もいる。現場折衝が得意な子もいる。当社には様々な仕事がありますが、全てが大切な役割であり、一人欠けても前に進めない。だからこそ、「社員一人一人がレギュラー」だと思うんです。経営者として、社員全員の「得意なこと」をこれからも伸ばしていきたいですね。

実は私、毎朝工場を回り、できる限り社員全員に声をかけるようにしています。「今日の調子はどう?」とか「今日は顔色がいいな」とか。日々の声掛けを続けることで、仮に悩んでいそうな社員がいても気が付くこともできる。欠かせない日課ですね。
また、毎年個々に行うOne on Oneミーティングと全体の親睦を深める社内旅行を実施しています。100年を迎えた時には全員でハワイに行こうという企画もあります。社員とコミュニケーションをとる事はいつまで経っても良い事だと思いますね。

 

 

インターンシップや社風について広瀬工場長にお話を伺いました。

インターンシップについて
― 仕事・社員を感じてもらいたい。一生モノですから。―

当社は入社前にインターンシップを行い、職場の雰囲気や事業内容を知る機会を設けています。一般に、工場での業務がクローズアップされがちですが、受注からの流れや、設計・監理・現場施工まで請け負っていますので、一つの仕事だけではない。また年に1回谷村社長と、処遇や業務、異動について相談をする機会が設けられていることも特徴的な取り組みでしょうか。ぜひ当社で自分が挑戦したいことを見つけてもらえたらと思いますね。

 

若手社員インタビュー

ここからは、若手社員から見た「谷村製作所」の本音に迫るべく、入社7年目の中村さんにお話を伺いました。中村さんは地元千葉県の普通高校を卒業し、現在検査課に配属されています。

 

― 自分の想いを経営陣に伝えやすく、努力をきちんと評価をしてもらえる職場 ―

入社後、最初は「作図」部門に配属となりました。もちろん未経験でしたが、最初の数カ月は先輩から一連の仕事の流れを教わりながら、覚えていきました。その後、原寸(お客様向けの図面を工場で加工する職人向けに直すこと)の部門でも経験をさせて頂き、今は希望をしていた検査課に配属となっています。工場の作業工程等も含め改めて深く勉強ができる場所と思い、実は社長に直談判させていただきました。

 

― 入社動機 ―
見学したときの雰囲気。これが一番。

パソコン作業が得意だった私に高校の先生が求人広告を持ってきてくれたことがきっかけになります。そのあとすぐインターンシップに参加し、その時の社員の皆さんの雰囲気が温かくて。経験や知識もない私を快く受け入れて下さるという言葉もありがたかったですね。迷うことなく、即決しました。

 

▲中村さんのお話をとなりで聞き、嬉しさに満ち溢れた表情をする谷村社長

 

― やりがい ―

実際自分が携わったものが何十年も残るということが仕事の醍醐味でありやりがいですね。お客様に出来上がった製品を納品し喜んで頂ける瞬間というのは、ほっとしますし、とてもうれしくなります。あと、色んな場所で当社が手掛けた建物等を見かけるとテンションが上がります。「うちで作ったんだぞ」と。職業病でしょうかね。(笑) 

当社は頑張ったことを必ず見てくれる人がいる。評価をしてもらえると、仮に大変なことがあっても、真面目にやっていてよかったなと思うことができます。

入社後、当時のMグレードを更新することがあり、その時は先輩から教わりながら対応をしていました。今回のHグレードへの昇格作業では、新しく書類の作成を必要としたため、相当大変でした。でも、そういったことも含め、上司や社長もきちんと見てくれている。有難いですし、また頑張ろうという気持ちになります。

 

▲中村さんの自席にて

 

実は過去、辞めたいなと思ったこともありました。その時、社長に相談をさせて頂いたんです。そうしたところ、「もう少しやってみたらどうにかなる事もある。本当に無理になったら俺に言ってくれ」と。また「とにかく何かあったら俺に全部言ってくれ」と励まされました。それからは、なんでも話そうと決め、今に至ります。

 

― 谷村製作所の「ココ」が好きなんです。―

人間関係は抜群にいいですね。仕事を続ける上で一番大事なポイントだと思っています。
どこの班に配属されても、不自由はしないはず。後輩社員も結果増えてきました。もし困る事があっても、谷村社長に言えばどうにかしてくれると思いますしね(笑)

社会人としてのスキルが何もない状態からスタートしましたが多くの先輩に支えられ、成長の機会を頂いたと思っています。常に勉強をすることが多い業界で刺激も多いですね。来年は「製作管理一級」の資格を取りたいと思っています。

 

▲取材は終始和やかな雰囲気で行われた。「うちの社員、私になんでも言ってくるんですよ」と谷村社長。

 

会社見学・インターンでできること

■内容
工場内の見学・部署や仕事内容の紹介

■向いている人
モノづくりが好きな人。向上心があり、自分の得意なことを生かしたいと思っている人。

■メッセージ
当社は、20代の若い社員からベテランの社員まで、また男性だけではなく女性で設計を担当している社員もいますし、外国籍の社員もいます。全員が一人一人の個性を生かし、自分の持ち場で活躍をしています。未経験でも恐れずに、自分の得意分野を伸ばしたい、見つけたいと思う方はぜひ一度見学にお越し下さい。

 

取材を通して感じたこと

企業における知識・技術等の継承は、「背中を見て学べ」的な発想だけで押し進めることは難しいとされている中、若手社員を丁寧に育成し、長きにわたり会社を支える人材として捉え、組織的に継承文化を築いている点に強く感銘を受けた。

また谷村社長のおっしゃる「一人一人がレギュラー」という言葉には、「キャッチャーばかりのチームでは団結力はあれど結果は残せない」というメッセージ性も感じ、個性豊かな才能に投資し、活力溢れる組織作りを目指す社長の姿勢に、100周年に向け力強く進む様を見せて頂いたように感じた。谷村製作所と共に、成長し、自分の強みを身に着けたいと思う若者にはぜひおすすめしたい。

 

会社情報

株式会社谷村製作所
代表取締役社長  谷村朋昭
[本社事務所]東京都墨田区立川3-13-1
[船橋工場]千葉県船橋市豊富町 721-4
WEBサイト

会社見学やインターンのコーディネートはフェアスタートサポートまでお問い合わせください。

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